【リズミックモチーフ】分割して考えるメロディーのリズム形
キャッチーで覚えやすいメロディーを作る、あるいは作ったメロディーが今ひとつピンとこない時に改良する為の方法の一つとして、リズミックモチーフの考え方を解説します。モチーフを更に小さく分割し、リズム形をパターンの組み合わせとして考える方法です。
リズミックモチーフとは
モチーフというのはメロディーの最小単位ですから、リズミックモチーフとは文字通りメロディーのリズム形の最小単位です。ここで言うメロディーのリズム形とはメロディーを構成する音符の長さの配列パターンを指します。
良いメロディーというのは意外とシンプルなリズミックモチーフでできている事が多いです。
今回ご紹介するのはその音符の長さのパターンを、小さな基本パターンの組み合わせとして考える方法です。その為にモチーフを半小節以下の小さな単位に分割します。
実を言うと私にも「モチーフ」の一般的と言うか正確な定義はわからないのですが、ここでは2小節位の長さの、メロディーの最も小さなまとまりを「モチーフ」と呼び、それを更に分割したメロディーの部品とでも言うべき、半小節以下の単位を「小モチーフ」と呼ぶ事にします。この「小モチーフ」というのは一般的な用語の使い方ではないと思いますのでご注意下さい。
この方法のメリット
さて、そうやって小モチーフに分解して、基本パターンの組み合わせとして考える事に何のメリットが有るかというと、
・色々なパターンを列挙しやすいので、ブレインストーミング的に案を出せるだけ出して選択する事が出来る。
・構造が分かりやすくなり、繰り返しやバリエーションを使って構成を練りやすい。
ので、いきなり良いメロディーが思い浮かぶような天才的発想力が無くても、そこそこ良いメロディーを作る事が可能になります。
モチーフを分割する
モチーフを小モチーフ、つまり半小節以下の小さな塊に分割します。
まず、基本になる音符の長さを8分音符と考えます。図ではそれを四角1個分として表しています。もっと細かくして16分音符を基本と考えても良いのですが、歌もののメロディーであれば普通は8分音符で良いかと思います。
拍子を4拍子だとすると半小節は8分音符4個ですので、モチーフを半小節以下の長さに分割する、ということは8分音符4個以下の小さな単位に分割することになります。
図の例では(4+4+4+2)に分割していますが、これははあくまでも一例です。
分割の仕方は(4+4+3+3)でも構いませんし、また、1小節は(4+4)か(3+3+2)のどちらでも良いですし、あるいは、小節をまたいでも構わないので(3+3+3+3+2)とかも可能です。
基本リズム形
まずは上の図を見て下さい。上の四角いマスは小モチーフの長さを示していて、1マスが8分音符1個分です。青い楕円と上の数字が音符の長さです。小モチーフの長さと構成する音の数で分けて書いています、他には8分音符1個だけのパターンがありますがそれはその1個だけなので書いていません。
長さが半小節(2拍分)以下で最短の音符が8分音符、に限定すると、音符の長さの組み合わせパターンはこれで全部の筈です。つまりこれに、音符のどれかを休符にする・どこかで16分音符以下に切り分ける・音符の長さを2拍よりも長くする、の操作を加えればこの組み合わせで基本的には全てのリズム形が出来上がる訳です。細かく切り分けるのはキリが有りませんが。
要するに単純に言ってしまえば、作るモチーフの長さになるように、この中から選んで並べる訳です。
パターンの一つ一つをみていくとそれぞれの持つリズムの動きの感覚みたいなのが分かるかと思います。それを並べた時のの特徴、言い換えれば並び方に現れる動きの規則性とその破れが、聴いた時にリズム面での面白みになります。
要素としては音程の動きによる変化も加わりますので、リズム形だけで見た時には、よりシンプルで分かりやすくあるのが、キャッチーなメロディーを作るコツでしょうか。
次はその構成の仕方の例を見てみます。
構成の例
考えれば他にも有るでしょうが、思いついた構成パターンを上の図にまとめてみました。順に説明します。
1.単純にモチーフの終止部以外で同じ小モチーフを繰り返すパターン。モチーフ2で繰り返しが1回少ないのは、ここだけは変化させて終止部に向かった方がまとまりが良くなるかな?と思ったので、もちろん場合にもよると思います。
2.モチーフ1と2の前の部分が同じになるパターン。類型として前は違って後ろの部分が同じパターンやモチーフ2で少しだけ変化させたりといったパターンが考えられるます。
3.小モチーフを2回ずつ繰り返すパターン。これも結構単純ですが変化形はいろいろ考えられると思います。
4・小モチーフを2個でセットにし、前は同じで後ろが変化するパターン。逆に後ろが固定でも良いです。
5.モチーフ1が短い休符を挟んで二つに分かれるパターン。リズム形か音程の動きのどちらか、もしくは両方を同じにして、モチーフ2は1の短いモチーフの発展形的な感じにします。これは少し特殊と言うか特徴的なパターンですがボーカルの出だしのフレーズ等に使うと効果的です。
最後に
今回ご紹介したやり方はもしかすると、合う人は凄く分かりやすいし、そうでない人にはなんでわざわざこんな事するのか分からない、みたいな所があるかものかもしれません。
もしそうなら、合わない方には申し訳ありませんが次回はこれの音程の動きバージョンを予定しています。