四和音のダイアトニックコード【7thと6th】

四和音のダイアトニックコード【7thと6th】

 スケールの音で構成された基本コードのダイアトニックコードには3つの音の三和音だけでなく、音をもう一つ加えた四和音もあります。ダイアトニックコードとして使える四和音のコード、三和音に七度の音を加えた7thと長六度を加えた6thの二種類の四和音について説明します。

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ちょっとツールの紹介

 本題に入る前に少しツールの紹介をします。
音楽理論を調べたりしていて、音を出して確認してみたくなったらどうしてますか?
もちろんDAWでテスト用のプロジェクトを作っておいて、それを立ち上げて、打ち込んで鳴らしてみる、というので良いのですが、もう少し簡単にすぐ音を出してみれたら良いのにと感じませんか?

 「VSThost」というフリーソフトなのですが、このソフトは名前の通りVSTプラグインのホストとして機能し、VSThost上でVSTを鳴らせます。VSTは複数のプラグインをセット出来て、インストゥルメントとエフェクターをつなげてセットするのも可能。
 バーチャルキーボードがついていて、PCのキーボードを鍵盤に見立てて弾くことが出来ます。凝ったフレーズを弾きこなすのは難しいでしょうが、音を確認する程度なら問題ないかと思います。
 セットした状態は何もしなくても記憶されてます。ピアノ等、コードも弾けてあまりクセの強くないどんなフレーズでも鳴らせそうな楽器をセットしておけば、VSThostを立ち上げてすぐに鳴らしてみれるので、ちょっと音を確認してみたい時に気軽に使えると思います。

 もっと簡単に、単純に音を出せれば良いなら「ソフトウェアMIDIキーボード」というフリーソフトも有ります。こちらはWindows標準のMIDI音源を使用し、同様にPCのキーボードを鍵盤に見立てて鳴らせます。

 ダウンロードは下のリンクから、どちらも解凍してそのまま使えます。

VSThost
ソフトウェアMIDIキーボード

7thコード

 では本題に入ります。

 前回説明したトライアド(三和音)のダイアトニックコードはスケールの各音をルート音にして三度の音程差で、ルート音・3rd・5th、と重ねた3っつの音で構成されるコードでした。

 今回取り上げる7thコードはもう1個、5thの更に三度上の音を重ねたコードです。
ルートから見ると七度上になりますので7thと呼びます。

7thコードを作ってみる。

 では前回のCメジャースケールのダイアトニックコードに7thを足してみます。

 赤い矢印が付いているのがルートから11半音上の長七度(Maj7)それ以外は10半音上の短七度(min7)です。
表記はmin7は「7」とだけ書き、Maj7は「Maj7」もしくは「Δ7」と書きます。

なので前回やったトライアドのダイアトニックコード、

Ⅰ、Ⅱm、Ⅲm、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵm、Ⅶdim

に7thを足した四和音のダイアトニックコードは、

ⅠMaj7、Ⅱm7、Ⅲm7、ⅣMaj7、Ⅴ7、Ⅵm7、Ⅶm7(♭5)

となります。♭5は減五度で diminished 5 と同じ意味です。

7thコードの構成

 メジャースケールの場合ダイアトニックの7thコードの構成は以下の4種類になります。

 7thの音と他の音との音程差をみていくと、
まずⅠMaj7とⅣMaj7、CメジャーキーでいうCMaj7とFMaj7は、R‐7th間が11半音で長七度、7th‐5th間が4半音で長三度、7th‐3rd間が7半音で完全五度となり、R‐7th間のみがテンションで後は協和音です。

 Ⅱm7、Ⅲm7、Ⅵm7、CメジャーキーのDm7、Em7、Am7も同様にR‐7th間のみがテンションになります。

 7thのテンションでいうと、ルート音の七度上というのはオクターブ上のルート音の一つ下という事になり、「Maj7」はオクターブ上のルート音と半音差になります。このMaj7の方がmin7に比べてキツめのテンションで、やや緊張感の高い響きです。

 Ⅴ7(CメジャーキーのG7)は言わば少し特殊で、7th‐3rd間が減五度になってます。減五度は不安定な響きになりますのでこの為にⅤ7はコード進行上、強い方向性を持ちます。これについては回を改めて説明しますが、この特徴をを活かしてⅤは7thで使われる事が多いです。

 Ⅶm7(♭5)、Bm7(♭5)はトライアドのBdimから減五度を含みますので元々不穏な響きですが四和音の方がP5が入るせいでしょうか不穏ながらもそれなりのまとまりがあるようにも聞こえます。
 三和音でBdimと表記してましたが、Bdimの表記は三和音と四和音の2種類のいづれかを指し、四和音の場合は三和音のBdimの上に更に短三度、ルートから見て半音9個の減七度(長六度と同じですがこの場合は短七度を半音下げたという解釈)の音を加えたコードを指します。 ですので特に区別して三和音を指す時はBdimをBdimトライアド、またはBm♭5といいます。

Bm7(♭5)は四和音のBdimより7thの音が半音高く、BハーフディミニッシュともいいBφと表記します。

 ダイアトニックコードはトライアドと7thコードどちらでも状況に合わせ良いと思う方を自由に選べます。

6th

 7th以外の四和音に6thがあります。ただ、これは基本和音とは言い難いかもしれません。というか厳密にはダイアトニックコードに含めて良いのかどうかも少し自信ないです。

 6thはルートの長六度上を加えた四和音です。
短六度の音はP5と半音差になるので、コードでは増五度(aug5)として扱われます。aug5をP5の代わりに使ってオーギュメントというちょっと特殊?なコードになります。ですのでスケール上の六度上が短六度となるⅢとⅥとⅦではダイアトニックとして6thは使いません。

 6thが使われるのは主にⅠ6とⅣ6です。ボサノヴァとかだとわりとよく使われるみたいですね。
構成をみると下の様になります。

 長6度も協和音ですので、6th‐5th間だけが長2度のテンション関係になり、他は協和音です。長2度もそれほどキツいテンションでもないので全体にまったりした、というか気だるい感じの響きです。ただ、聴いて頂いたら分かるかと思いますが、マイナーっぽい響きなんですね。何故かというと、構成音を見て気づいた方もおられるかも知れませんが、

 一番上のAをオクターブ下げて下に持ってくるとAm7になります。つまりC6は形を変えたAm7なんですね。ですがルート音がCなので響きはAm7とはまた違います、主和音のCの代わりにルート音をそのままにマイナーっぽいコードとして使う感じでしょうか。
同様にF6はDm7の形を変えたコードで、Fの代わりに使えます。

 響きが独特で、IやⅣを使うところで代わりにⅠ6やⅣ6に替えて雰囲気を変えるることも出来ます。

最後に

 前回と今回で基本となるダイアトニックコードが一通り出ましたので、次回からそれを使ったコード進行の話を順次進めていきたいと思います。

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