五度圏の使い方 【調性確認&コード進行作成補助】

五度圏の使い方

 【調性確認&コード進行作成補助】

五度圏とは#や♭も含めた12の音を円周上に、時計回りが完全五度上になる様に配置した図です。五度圏は色々使える超便利な図で、知ってると必ず役に立つと思います。今回はスケールの調性を確認する方法とコード進行作成の補助ツールとしての使い方を解説します。

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五度圏でスケールを確認する。

 冒頭にも書いたように、五度圏は隣との音程差が完全五度になる様に配置された図で色々な使い方が出来ますが、まずは本来の使い方だと思われるスケールを調べる方法を説明します。下の図を見て下さい。

「C」の位置に注目して下さい。外側が「C」で内側が「a」になっています。 スケールを調べる時はこれをスケールの主音として考えます。
 外側がメジャーで内側の小文字で書いているのがマイナーです。なのでこの位置はCメジャースケールとAマイナースケールという事です。
 以前説明したようにCメジャースケールとAマイナースケールは主音は違っても同じ音で構成される平行調です。CメジャースケールとAマイナースケールには#や♭が付きません。

 その両隣を見ると、時計回り側がGメジャースケールとEマイナースケールで#が1個付きます。反時計回り側がFメジャースケールとDマイナースケールで♭が1個付きます。
 要するに、時計回りに移動すると#が1個づつ増えていき、反時計回りに移動すると♭が1個づつ増えていくのですが、#や♭が付く音にも規則性が有ります。
 #はFから始まって時計回りにF、C、G、…の順で付いていき、♭はBから始まって反時計回りにB、E、A、…の順で付いていきます。

 つまり、五度圏を見るとどのスケールに#や♭が幾つ、どの音に付くのかが分かる訳です。

五度圏でコード進行を考える

 次に五度圏をコード進行を考える時のアシストツールとして使う方法を紹介します。
前回の最後に予告した、五度圏でコード進行を整理してみるというのがここからの話になり、どちらかと言うとここからが今回の本題です。特に続きという訳でもないのですが前回の記事を見てからの方が分かりやすいかと思います。

ルート音の動きで見るコード進行を根音進行と言います。根音進行は強進行、準強進行、弱進行に分類され、強進行・準強進行は進行感が強く安定感があり、弱進行は進行の指向性が弱い進行です。根音進行とコードの機能でコード進行の基本について考えてみます。

 上で書いたスケールを調べる時とは違い、今度は五度圏をダイアトニックコードのルート音として見ます。

 上の図の様な形で、メジャースケールかマイナースケールのそれぞれの場合に合わせて矢印の位置が主和音になる様に枠取りするとその枠内がダイアトニックコードになります。
外側がメジャーコード、内側がマイナー系のコードではみ出した枠がディミニッシュです。

五度圏でのコードの配置と関係

 それでは次に枠の中だけ取り出して、配置されたコードの関係を確認してみる事にします。

メジャースケールの場合

 メジャースケールの場合は上段の真ん中が主和音になる様に枠を引いて取り出すと中の配置は下の図の様になります。

 見ていただいた通り、上段が主要和音で左にサブドミナント、真ん中がトニック、右にドミナントとなります。

 上段の各主要和音の下に来るのが主要和音のルート音と3rdを共通音に持つコード、その右隣(主要和音の右下)が主要和音の3rdと5thを共通音に持つコードです。

 Cメジャースケールを例に取るとCと、その下のAmはCとEを共通音として持ち、EmはEとGを共通音に持ちます。ですから基本的には下のコードと右下のコードが代理コードになりうる(どちらかと言うと、下のコードの方が代理としての機能が強い)のですが、ⅥとⅢは主和音であるトニックの代理としての引きが強いので図の様になる訳です。

マイナースケールの場合

 ここでマイナースケールとはナチュラルマイナーです。
 マイナースケールの場合は下段の左から2番目に主和音が来るように枠取りすると下の図になります。

 メジャースケールを逆にした様な感じで、下段の左から3つが主要和音です。はみ出した枠のディミニッシュがⅡになりますのでこれがサブドミナントの代理になります。
 各主要和音の上のコードが主要和音と3rd、5thを共通音に持ち、左上のコードがルート音と3rdを共通音に持ちます。はっきりした理由はよく分からないのですが、マイナースケールの場合は3rdと5thを共通音に持つ上のコードの方が左上のコードよりも代理としての機能が強いという事です。

コード進行を当てはめてみる

 更にこの図に前回の記事で書いた根音進行を図に当てはめてみます。

四度上行(五度下行)

 元々五度圏は時計回りに完全五度上に配置した図なので、当然右へ順に進行すると四度下行(五度上行)、左に進行すると四度上行(五度下行)になります。
 図の示した矢印が強進行である四度上行(五度下行)の進行順です。
この矢印の進行順が最も安定した強い進行になります。逆向きの弱進行の四度下行(五度上行)も強進行程の安定感は有りませんが充分に使用可能な進行です。

 マイナースケールでも同じです。

三度下行(六度上行)

 上で書いた代理コードと元のコードとの音程差が三度なので、三度の上下行は同じ機能内の進行になります。その分コードが変化した感覚が薄いのであまり連続して使うとモヤモヤした感じになります。
 矢印で示した三度下行が準強進行で逆向きの三度上行が弱進行です。個人的な感想ですが、確かに三度下行は進行感が薄いながらも広がりみたいなのが感じられるのに対して三度上行は締め付ける様な息苦しさみたいなのを感じる気がします。

 準強進行の三度下行にも禁則とされる代理コードから元のコードへの進行が出てきます、一般的にこれはどうなのでしょうか?個人的にはあまり違和感を感じないのですが。

 基本的にマイナースケールでも同じです。

順次進行

 一応矢印も書き込んでみましたが、順次進行は普通に見て探した方が速い気もします。
上行が準強進行ですが逆向きも割りと使えます。
前回にも書きましたが流れを作るのに使いやすい進行だと思います。

 こちらもマイナースケールでも特に違いはないです。

五度圏でみるコード進行まとめ

 という事で、若干見づらいかも知れませんが、上の図の矢印と順次進行の上行(つまり1個上のコード)が強進行・準強進行ですので矢印をたどるか1個上のコードに進行するかの組み合わせで、強進行の安定的なコード進行になり、その逆が弱進行になります。また、主和音であるⅠからはどのコードへも進行できます。

 後はコード進行を作るのですが、そのやり方は、作曲される方次第ですので「こうする」と言う説明はしづらいのですが、一応書いておきます。

 まず、前提としてキーが決まっている必要があります。
キーを決めたら、作ろうとしているフレーズの終止形を決めます。ピリオドの関係からそのフレーズが次に続く感じで終わるのか、ある程度の区切りとして終始感を持つのか、もっとしっかり終わった感じが良いのかを決め、半終止・変終止・偽終止・正終止等から選択するわけです。
 終止形が決まると最後のコードが決まりますので、そこへ至る進行を逆にたどる形で決めていきます。そのフレーズのイメージや流れを想像して、その部分のコード進行にどういう進行感が良いのか考え、当てはまりそうな根音進行を選んでいきます。この時に上のコード進行表が有ると、どの根音進行がどのコードになるのかすぐに分かりますので便利です。

 もちろん作る順序は最初から作る方がやり易ければそれでも構いません。
要は、作りたいコード進行のイメージに合わせて、根音進行のそれぞれの進行感から選択していくという事です。

最後に

 何だか最後の方で言うのは簡単だけど、みたいな感じになってしまいましたが、実際に、特に慣れないうちは響きを確認しながら意図したようなイメージでコード進行を作るのは難しいとは思いますが、基本的にはこれで形になるコード進行は作れるのではないかと考えています。良かったら色々試してみてください。

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