DTMで歌を作る方法【作曲の要素と工程・手順】

DTMで歌を作る方法【作曲の要素と工程・手順】

 今まで曲作りの為にメロディーの作り方やコード理論等、色々な知識や手法について書いてきましたが、いざDTMで作曲、といっても最初は、実際に何をどんな手順でやれば良いのか想像し難いのではないでしょうか。工程や関連要素の全体像が掴めれば、簡単とまでは言いませんが意外と気楽に楽しめるものです。今回はDTMでの作曲の要素と工程をまとめ、手順の例を紹介します。

 当ブログでは基本的にUTAUを使った歌ものの作曲をテーマとしていますので、一応その前提で進めます。もっともUTAUを使わなくても歌ものであれば、ほぼ同じですが。

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DTMでの作曲・歌作りの要素と工程

 メロディーの作り方の回でも似た様な事を書きましたが、音楽の3要素といえば「リズム・メロディー・ハーモニー」です。ただ、これでは漠然としてますので、具体的に考えるべき要素と実際に入力・編集する項目との関係を図にしてみました。

 下の図を見て下さい。

 オレンジ色の線は具体的な形として表される関係を示しています。例えばリズムは具体的にはドラムパターンに表されるといった感じです。

 黄色の線は隣接的に関連する事を示しています。

 青い線はほぼそのまま入力する項目です。

作曲の要素

 一応、上の図で見ていただいた通りなのですが、確認のため各楽器トラックと関係する音楽的要素を書き下すと下記の通りです。

 トラック  要素
ドラム リズム
ベース・スタックコード リズム・コード進行
メロディ・コード系楽器群 コード進行・メロディー
UTAU(ボーカル) メインメロディー

 これは一応の大雑把な分類で単純に上記のように割り切れない部分も有るでしょうし、違う考え方もできると思います。

各トラック・楽器パートの解説

 図に出てくる各トラック・楽器パート名について少し解説します。
ただし、ここで説明する内容はここでの分類の説明のための内容ですので、各用語については一般的な使い方と多少のズレが有るかもしれませんのでご注意下さい。

ドラム・ベース・スタックコード

 ドラムとベースは特に説明の必要は無いかと思いますが、スタックコードというのはコードの構成音を同時に重ねて鳴らす奏法で、ここでは主に早いアタックの短めの音を使ってコードでリズムを刻む楽器パートを指しています。
 例えばギターでのコードカッテイングやピアノ等でコードを鳴らす様なイメージです。

 このドラム・ベース・スタックコードの3つの楽器パートでリズムとコードを演奏出来る訳でこれにヴォーカルが加われば、ロック・ポップス系での基本ユニットと言えると思います。

メロディー・コード系楽器群

 この「メロディー・コード系楽器群」という言い方はこの記事での説明のため私が取り敢えず考えた名前です。

 コード又はその構成音の一部を弾くものから、コード外の音を含めてメロディーを弾くもの迄、一つのコードの中で音程変化を持ち得る楽器パートを纏めて指していると思って下さい。

 図に列記した用語を説明します。上から、コードっぽい→メロディーっぽい、の順になっています。ただし、上にも書きましたがここの説明は厳密な定義に基づいた説明ではなく、私のイメージです。

 パッド・ストリングス

シンセのプリセットの中に、名前の一部が「Pad」とか「Strings」になっている音色が入っている事が多いかと思います。

 どちらも長くのばして使用する音色で、主にコードやコード構成音の一部を鳴らします。

 単独で使うことも有りますし、オーケストラのストリングスの様に違う音色で違う音程の音を組み合わせて鳴らす事もあります。

 ブロークンコード

 ブロークンコードというのは、スタックコードの様にコードの全ての音を同時に弾くのではなく、分解してコードを弾く事を指します。

 コードの音を単音で順に弾く(?)アルペジオはブロークンコードの一種です。

 リフ

 リフとはリフレインの略で、メロディーやブロークンコード等の比較的短いパターンを繰り返すものです。

 リフを前面に押し出してその部分のテーマとして使う場合とボーカルやリード楽器のバックに使う場合が有ります。

 リード

 単音、もしくは複音で奏でるメロディーです。歌ものなら間奏やイントロでのメインメロディーやヴォーカルのバックでサブメロディーを演奏したりします。

完成までの手順

 手順とは言っても、もちろん決まっている訳では無く自由に、思いついた部分や作り易い部分から初め、ある要素が出来たらそれに関連する要素がある程度絞られてきますので続いてそれを作り、更にそれに関連する要素が…。という感じでやり易い順、思いついた順に作り込んでいけば良いのですが、やはりある程度一般的なパターンというものが有ります。

 DTMで作曲する時のイメージを掴んでもらう為にも曲を作る手順の例を紹介します。

 歌ものの曲の場合手順を大きく分けると、まず歌を作り、アレンジつまりバックの楽器パートをつけるか、逆にアレンジから入って、後で歌を作るかの二通りになるかと思います。

 ただ、当然といえば当然ですが、ある一つの要素の曲全体分を一気に作らないといけない、という訳ではありませんので、例えば歌のサビ部分を先に思いついたら、サビ部分は「歌→アレンジ」の順で作って、そのアレンジをもとに、違う部分のアレンジを作ってからその部分の歌を作るといった進め方でも良いです。

アレンジから始める

 バックの楽器パートを作ってから歌を作るというのは、言い換えるとリズム形やコード進行を作り、それに沿う形で歌を作るという事になります。

 まだ作曲に慣れないうちや歌のメロディーが思いつかない時はこちらの方が作り易く感じる方が多いのではないでしょうか。その反面、ある程度何曲か作ると同じパターンというか似た感じの曲になってしまいやすいかも知れません。

 楽器パートをドラムから作り始める例と、コード進行から始める例を紹介します。

 どの場合でもこの流れでいくと、歌についてはある程度アレンジを作った後で何か適当な楽器(その楽器自体は最終的には使わなくても)でボーカルのメロディーを作ってそれをUTAUに移して歌詞をつける、という方法がやり易いと思います。

 歌詞は最後に作るのでも、逆に最初に歌詞があってそのイメージでアレンジを作っていくのでも、どちらでも出来るかと思います。

ドラムから

 ドラム、つまりリズムパターンを最初に作る方法です。

 まずリズムパターンの構成を考えながらドラムのフレーズを作ります。次にそのリズム形に合わせててベースの基本パターンを決めます。

 更にコードの根音進行を考え、ベースの基本形をコードにしたがって音程を動かしてベースのフレーズを作ります。

 ドラムとベースが出来たら、コードのアレンジを考えます。スタックコードや「メロディー・コード系楽器群」として説明した楽器パートをどう組み合わせるかです。

 スタックコードを使う場合は、ドラムとベースで作ったリズム形に被せるリズムの刻みを決め、コードに含めるテンションを考えてコードを確定して、スタックコードのフレーズを作ります。

 スタックコードを使わない場合はパッド・ストリングスやブロークンコードの組み合わせでコードが確定する事になります。

 ここ迄でリズム形、コード進行が出来ましたので、それに従って他の楽器パートを作っていくか、あるいはこの段階で歌を作っても良いです。

コードから

 コード進行から作り始める場合、まず何の楽器でコード進行を作り始めるかで分かれます。

 まず根音進行を作るなら、ベースで、リズム形は取り敢えず仮のものでも良いのでルート音をとって進行を作ります。それに重ねてスタックコードかブロークンコードまたはパッド・ストリングスでコードを確定していきます。

 その後ドラムでリズム形を作り、必要ならベースを修正します。

 もしくは、最初からコードネームまで確定したコード進行で作るなら、まずスタックコード(もしくはブロークンコード かパッド・ストリングス)でフレーズを作ることになります。

 この場合次にドラムでその後ベースの順でもベース→ドラムの順でも、作りやすい方で進めます。

 上のドラムから始めるケース同様にここ迄でリズム形、コード進行が出来ましたので、後は続けて他の楽器を重ねていくか、歌を作るかの手順になります。

歌から始める

 歌の歌詞とメロディーのどちらを先に作るかという問題もありますが今回はそれは置いておきます。

 歌のメロディーが出来たら(歌詞は後でも構いません)、何の楽器でも良いのでDAW上にそのメロディーを置きます。

 次にこのメロディーにコードとリズムを付ける訳ですが順序はどちらでも良いです。

 リズムは出来上がったメロディー自体がある程度リズムの要素を持っていますのでドラムでそれに合わせ活かす様なリズム形を、聞いてみてチェックしながら付けていきます。

 メロディーへのコードの付け方はまた回を改めて詳しく書こうかと考えていますが、取り敢えず簡単に書いておくと、メロディーの目立つ音程(伸ばした音や何度も出てくる音程等)がコードトーンになるコードを候補にして、「その部分でどういう響きをつけたいか」やコード進行等を考慮して付けていきます。

 具体的には、先にベースで響きをチェックしながらルート音をとって、その後スタックコード等でもう一度チェックしながらコードを確定する方法とメロディーを聞いたり、楽譜(DAWのピアノロール)を見ながら、頭の中である程度考えてスタックコード等で付けてみて響きをチェックする方法があります。

最後に

 手順の説明の部分はざっと流す感じになってしまいましたが、大体のイメージはなんとなく掴んでいただけたでしょうか?
次回から各楽器パートを、順にもう少し詳しく説明していきたいと思います。

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