フリーVSTの探し方とシンセの基礎知識

フリーVSTの探し方とシンセの基礎知識

初心者の方が良さそうなVSTを探すのも意外と難しいものです。そこで、フリーVSTの探し方や役に立つサイトのご紹介。それとシンセについては探すにも使うにもある程度の基礎知識は必要だと思いますので、音作りの準備も兼ねて基礎知識をまとめてみました。

スポンサーリンク
レスポンシブ

フリーVSTプラグインの探し方

 フリーのVSTをネットでダウンロードするのは海外のサイトが多いので、探すにもある程度は英語のサイトを見て、というのがほぼ必須になります。私もそうですが、英語が得意でない方は結構苦労があるかと思います。

 まず良さそうなVSTをどうやって見つければ良いのかという問題。それに気になるVSTがあっても、説明文を読みこなせなければ、どういうプラグインなのか今一よく分からないという問題もあります。
「良さそうなVSTをピックアップする方法」と「気になったVSTをチェックする方法」に分けて私が行っている方法を書いていきます。

良さそうなVSTをピックアップする方法

 「良さそうかも」と思うVSTをピックアップする方法ですが、もちろん普通に探したいVSTを「free VST synth」とか「free VST eq」みたいな感じで検索しても良いです。その場合は海外のサイトを探すのであればグーグルなら言語設定を英語にしたほうが良いです。オススメを紹介しているサイトが出てくると思いますので、説明が完全には理解できなくて漠然とでも挙げられでいる名前を拾っていけば意外と簡単に見つかるかもしれません。

 それ以外の方法として、レーティング等を参考にしてピックアップしやすいサイトを紹介します。

・フリーVSTを探すのに役立つサイト

 DTM関係では有名な「KVR」というサイトとダウンロードしやすく便利な「VST4FREE」というサイトを紹介します。
この二つのサイトで気になったVSTが見つかれば次に書く様に紹介動画を見てチェックするというのがおすすめの方法です。

KVR

KVR
 VST等のプラグインに関するニュースやマーケットプレイス、それにレビュー、ランキング、レーティング、フォーラム等があるサイト。

 サイトに行って、濃いグレーのメニューの「Products」をクリックするとプラグインを検索するページに入れます。検索条件と表示順(Sort results by:)を指定し「submit search!」を押すと検索結果が表示されます。
 検索条件でOSを指定出来るのが、MacやLinaxを使っている方は助かるのではないでしょうか。表示順は人気があるプラグインを探したいのなら「Most Popular」か「Most Owned」で新しい順なら「Newest」で指定すると便利です。
 また、そのページのサブメニューの「Best free ~」のページも参考になるかと思います。ここから更に検索条件を変更して絞り込むことも出来ます。
 ランキングは「Products」の横の三角をクリックしてドロップダウンリストの「Product rankings」から行けます。

 各プラグインのページにはそのプラグインの詳細やダウンロードサイトへのリンクがある他、上のタブの「Bank & Patches」をクリックするとそのプラグインのプリセットバンクの投稿ページになります。ここに投稿されているプリセットバンクは無料のメンバー登録するとダウンロード出来ます。登録はページの左上隅の「Login / Register」をクリックしてポップアップの下の方の「Join / Register (free!)」から。
同じサブメニューの「Soundware」にも配布されているプリセットバンクが有ります。

VST 4 FREE

VST 4 FREE 
 名前の通りフリーのVSTを集めたサイト。細かくカテゴリー分けされていて分かりやすいです。配布元へのリンクではなく、このサイトで直接ダウンロード出来ます。
上の小さい字のメニューの「+ OS Filter」でOSによる絞込が出来ます。

気になったVSTをチェックする方法

 目にとまったVSTがあっても「どんなプラグインだか今一良く分からない」という場合は解決策とまではいかないかも知れませんが、ある程度参考にできる方法はあります。大体のVSTプラグインはYOUTUBEに紹介動画が上がっています。シンセ等のVSTインストゥルメントであればプリセットの音を幾つか実際に鳴らしてたりする数分程度の動画です。実際の音が聞ける訳ですから参考になるかと思います。
ですので上記の方法等で気になるVSTプラグインが見つかればVST名をコピペしてグーグルの動画検索かYOUTUBEで検索してみると、おそらくそういった動画が見つかる筈です。もし関係のない検索結果が出てくる様なら後ろに「VST」とか、シンセなら「synth」とか、つけて再検索してみて下さい。エフェクターは説明が主体でよく分からなかったりする場合もあるかも知れませんが大体は割りと参考になります。

シンセの基礎知識

 シンセの紹介を見ていると「~synth」と、シンセの種類を表すと思しき形容詞がついてます。そういう用語や、UIの見た目と説明でどんなシステム構成なのかある程度推測出来るようにシンセの基本構成を解説します。

シンセの種類

 シンセの種類を表す用語と一口に言っても、その前提となる分類の基準自体がいくつかあります。
最も基本的なのは、音色を作り出すシンセシス方式による分類ですが、それ以外の種類分けによる用語で形容されている事もあります。

シンセシス方式

 音というのは波ですので、ざっくり言ってしまえば、音量=振幅、音程=周波数、音質=波形、となります。更に言えば、この辺は数学でフーリエ変換をしっかり勉強している方なら私なんかより正確に理解されているでしょうが、全ての波形は様々な周波数・振幅の波の合成であると捉えられます。
 つまり波形は、基音となる一番下の周波数の波の上に、その何倍かに当たる周波数の波が複数重なって出来ている訳です。この含まれている基音の何倍かの周波数の音を倍音と言います。言い換えると、音色とはその音に含まれている倍音の構成によって決まる訳です。ちなみに倍音を全く含まない基音の周波数だけの波形はサイン波です。

 シンセシス方式というのは倍音構成を作り出す方式という事になります。
その方式には「減算型」「加算型」「変調型」「サンプリング」「物理モデリング」があります。

・減算型(Subtractive)

倍音を含んだ元の波形からフィルターで一部の倍音をカットして音色を変化させる。一般的に「アナログ(Analogue)シンセ」と呼ばれるのは「減算型アナログ・シンセサイザー」

・加算型(Additive)

元の波形に別の波形を重ねあわせていって音色を合成する。

・変調型

変調によって合成する。周波数変調によるのがFMシンセ、位相変調によるのがPD(Phase Distortion)シンセ

・サンプルベース(Sample-based)

サンプリングした波形を基本波形として使用する。

・物理モデリング(Physical modelling)

楽器が鳴る現象を物理的に解析したモデルをシュミレーションする方式

その他の種類分けによる用語

・モジュラー(Modular)シンセ

シンセの各機能部分がモジュールとして独立していて、選択したモジュールを組み合わせ、繋げて使用します。

・ウェーブテーブル(Wave table)

シンセシス方式としてのウェーブテーブルはメモリーのウェーブテーブル上に記憶された複数の波形を時間経過で順次いれ替えていくという方式ですが、それとは別にウェーブテーブル音源といってサンプル波形を複数持っていて、それを元にして音色を作るシンセをウェーブテーブルシンセと呼んだりするようです。サンプルベースとほぼ同じ意味ですね。

・アンビエント(Ambient)シンセ

この表現も時々見ますが、これは使用目的というか、音色の形容ですね。Ambientは「周囲の」とか「環境の」という意味です。映画の中で、はっきりした曲というより効果音に近い音が雰囲気を演出する為にさりげなく鳴っていたりしますよね、ああいう感じの音だと思って下さい。アンビエントシンセというのはそういう音を出すためのシンセという意味です。

アナログシンセの基本構成

 フリーVSTのシンセで最も多いのは、おそらくアナログシンセをシュミレートした「バーチャル・アナログシンセ」です。アナログシンセに他の方式を組み合わせた「ハイブリッド(Hybrid)シンセ」もありますが、ここでは最も一般的で基本になると思われるアナログシンセについて説明したいと思います。

 減算型アナログシンセが音を出す仕組みは、まずオシレーター(Oscillator)が元になる波形を作り出します。作り出された波形は多くの倍音を含んでいて、フィルター(Filter)が倍音の一部をカットして音を変化させます。それをアンプで増幅するのですが、増幅する強さをエンベロープ(Envelope)で時間的に制御します。エンベロープはA・D・S・Rの四つのパレメータで設定されるのでADSRと表記される事もあります。
 エンベロープはアンプを制御して音量を変化させるるだけでなく、フィルターのパラメーターを制御して音色を変化させたりもします。
 LFO(Low Frequency Oscillator)も対象となるパラメーターを時間的に変化させます。
LFOは名前の通り低周波の波を作り出し、対象となるパラメーターをその波に沿って変化させます。これをモジュレーション(Modulation)といいます。

 元のアナログシンセ実機は電圧で制御されたアナログ回路ですので、オシレーターの事をVCO(Voltage Controlled Oscillator)、フィルターをVCF(Voltage Controlled Filter)と呼んだりします。
 図では各一個しか書いていませんが実際の構成は、オシレーター×2・アンプエンベロープ+フィルターエンベロープ、LFO×2の様になっています。

最後に

 今回の記事のフリーVSTの探し方というのは、書くかどうか少し迷ったのですが、以前にVSTシンセを紹介した記事で「少しピックアップした数が少なかったかな。」という反省もあったので、フォローの意味もあって主にVSTシンセを念頭に置いて、ご自分でVSTを探す時に少しでも助けになればと記事にしました。
また、後半のシンセの話はシンセで音作りの前振りだったりします。

スポンサーリンク
レスポンシブ