【リズム基礎】8ビートドラムパターンの基本とバリエーション

【リズム基礎】8ビートドラムパターンの基本とバリエーション

8ビートのドラムパターンの基本形について、リズムに関するごく基本的な話とパターンの構造やバリエーションから、フィルを含めたフレーズの構成の仕方まで、8ビートで実際に曲を作るまでの様々な基礎知識を解説します。

スポンサーリンク
レスポンシブ

8ビートの基本ドラムパターンとリズムの基本構成

 まずは最もシンプルなプレーン8ビートドラムパターンを題材にして、リズムの基本構成や基本的な用語について解説したいと思います。

 最も基本的な8ビートのドラムパターンは下の様なパターンです。

 図は1小節分で、8分音符を基本単位として分割しています。
8ビートですから言うまでもなく、1小節・4拍分を8つに刻む8分音符が基本のビート(パルス)になります。

 基本ドラムパターンはハイハット・スネアドラム・バスドラムの3つで構成され、ハイハットが細かい基本のパルスを刻み、バスドラムがリズムの一山分の土台を作り、スネアがいわば山の頂上であるアクセントを打つ、といった感じでしょうか。

 本来は、というか英語で「Beat」というと拍を指します。拍を分割した細かな刻みは「ディビジョン(Division)」とか「パルス(Pulse)」とか言います。なので、もし英語のサイトや動画で8ビートのパターン等を検索したいときは「8th note beats」や「8th note groove」で検索して下さい。

 ダウンビートとかアップビートとか言う言葉を聞かれた事があるかと思います。若干言葉の意味が混乱気味な気がしますが、ダウンビートというのは指揮棒が振り下ろされた位置から1拍目が始まる所から小節の1拍目を「ダウンビート」、それ以外の拍を「アップビート」と言います。

 通常4拍子ではダウンビートが最も強い拍で、3拍目がその次に強い拍です。
この通常は強い拍になる1拍目と3拍目を「オンビート」、2拍目と4拍目を「オフビート」と呼びます。さらにオフビートでリズムをとる事を「バックビート」と言います。

 つまり、8ビートの基本パターンではディビジョンを8分音符とし、バスドラでオンビートを、スネアでアクセントとしてバックビートを打つ訳です。このオンビートからバックビートへの感覚こそが8ビートだといえると思います。

 ディビジョンを8分音符とすると1拍が2つに分割されます。その二つのうち前のディビジョンを「表」後を「裏」と呼びます。
「裏打ち」というのは裏でリズムをとる、もしくは裏を強めにして強調することを言います。

8ビートドラムパターンのバリエーション

 次に上記の基本パターンを少し変化させたバリエーションをいくつか見ていきたいと思います。バリエーションは変化の組み合わせでたくさんあると思いますが、バスドラム・スネア・ハイハットのそれぞれを変化させた例を挙げていきます。

バスドラムのバリエーション

 まずはバスドラムの変化パターンから、最初は上の図の様に基本形のバスドラムやスネアの裏をとる感じでバスドラムを入れるパターンです。

 図で新たに加えたノートが厚みを薄く表記してあるのは、ベロシティ(DAWのシーケンス編集画面で下に棒グラフで表示されている、ノートの強さを表すパラメーター)を下げて弱めにした音である事を示しています。

 他の楽器でもそうですが、ドラムの場合は特に、こういった続いた音でベロシティで変化をつけるのは大きな要素です。それでリズム形の感覚が大きく違いますので、

 図では1拍目の裏と2拍目の裏ですが、3拍目・4拍目でも構いませんし、入れるのは1か所だけでなくいくつか入れても構いません。

 次は3拍めのバスドラをずらして裏に入れたパターンです。それだけでも良いのですが図で示しているのはもう一つ裏で打つバスドラを加えたパターンです。
 これも加えるバスドラの入れる位置は図のどちらでも良いです。

スネアのバリエーション

 最初に紹介した、裏にバスドラを加える例のスネアバージョンですが、この場合はどちらかと言うと感覚的には元のスネアの前後にどちらかに弱めのスネアをもう一つ加えるといった感じでしょうか、
前後両方に入れてスネアが3つ続く形でも悪くはないですが、個人的は両方スネアを入れるよりどちらかをバスドラにした方が良い様に思います。単に私の好みかもしれませんが。

 スネアを裏にずらすパターンです。これも色々バリエーションは考えられますが図の様に前のバスドラから1拍分後という関係が保たれているのとそうでないのとでリズムの感覚が少し違う気がします。

ハイハットのバリエーション

 バリエーションというか強弱をつけただけですが、先にも書いた様にヴェロシティに変化をつけるのは大きな影響があり、それ自体リズムを構成する要素の一つだと言えます。
ですからリズムを細かく刻むハイハットの場合、上の図の様に表を強調するか、裏を強調するかだけでも結構違いが出ます。

 他にハイハットでリズム形に変化をつける方法としてはどこかの音を抜くという方法もありますし、上の図の様にオープンハイハットを使うあります。

 クロ-ズドハイハットは名前の通りハイハットを閉じた状態で叩いた音ですので音が伸びず短く切れた感じの音ですが、オープンハイハットは音が少し長く伸びるのでこの2つの組み合わせでリズム感を作り出せます。組み合わせ方は上の例に限らず色々なパターンが使えます。

 後、シンセドラムっぽいドラムマシーンとかだとセットにないことも多いですが、アコースティックドラムセットのプラグインやサウンドフォントだと「ライドシンバル(Ride cymbal)」というのがあるかと思います。これをハイハットの代わりにする事も出来ます。
 ライドシンバルは叩く位置によって「ベル(bell)」「ボウ(bow)」「リム(
rim)」の三種類の音があり、ベルは中心付近の丸く盛り上がっている部分、リムは端部、ボウはその間を指します。この3種全部か、ベルと何か(何も書いてないただ「Ride Cymbal」とだけなっている場合もあります)の2種が入っていると思います。
 基本的なパターンとしてはベルとボウ(またはリム)をどちらかが表にもう一方が裏になる様に交互に入れるパターンをよく耳にします。

フレーズの構成とフィル

 メロディーの構成の所でも書きましたが、4小節(位)の小さなまとまりをフレーズ、フレーズ2つ(以上の場合も有りますが)で構成される曲の区切りになる単位をピリオドと言います。

 フレーズやピリオドのリズムパターンの構成について簡単に触れておきます。

フィルとは

 ドラム以外の楽器でもフィルという概念はありますが、フィルというのは「曲の区切りなんかでよく、ドラムがそれまでのリズムパターンと違ってドコドコ叩いてたりするアレ」と言えば何となく分かってもらえるのではないかと思います。
 つまり、ピリオドやフレーズの最後に、繋ぎというか次の部分へ入る勢いをつけるというか、まぁそんな目的で挿入する1小節もしくは半小節の特殊(?)なパターンの事です。

 よく耳にするのはタムをhigh-mid-low-floorと順に叩いていくパターンです。
他の例としては、

 上記の様なリズムで通常のアクセントの位置を気にせず全て強めの音で、スネアのみまたは適当にタムを混ぜて叩く、というものです。最後の音に重ねてシンバルを入れると感じが出ます。

 個人的には8分音符だけでは少し寂しい気もしますが、いずれにしてもフィルは雰囲気に合わせて自由に色々やってみていただければと思います。

フレーズの構成

 ドラムパターンが次々変化するアレンジを得意とする方もおられるでしょうが、通常はピリオド毎に(あるいはフレーズで)基本パターンが決まっていることが多いと思います。

 ただ、フレーズ内がすべて同じパターンだと、それはそれで注意を引くものです。
それが例えば「他の楽器が自由に変化するので一定の統一感を維持するため」とか「リズムパターン自体が凝っていて、それを聞かせたい」とか「あえて単純な同じ繰り返しでトランス状態的な効果を出したい」といったはっきりした意図があって機能しているなら良いのですが、そうでなければ違和感があります。

 ですからフレーズの中で一部分だけ少し変化させる訳です。一般的には3小節目のパターンが少し変化するのが多いと思います。

 フィルはピリオドの最後のみか、両方のフレーズの終わりに入れて前のフレーズの最後は抑え気味のフィルでピリオドの最後にはそれよりも少し派手目のフィルを入れるとまとまりが良いかと思います。

 全体で考えてもサビ前などの変化が大きい、というかはっきりした区切り程、印象に強いフィルになるようすると構成上すっきりします。

最後に

 今回は8ビートという事なので、一応8分音符区切りを前提に書きましたが、全体に8ビートであってもフィルに関しては特に8分音符区切りにこだわらずもっと細かい音符で組んでも構いません。
というか今回お話した事は定番的な基本ではあると思いますがルールという訳ではありませんので自由に色々な思い付きを試していただければ良いと考えます。

スポンサーリンク
レスポンシブ