【初めての作曲・メロディーの作り方】「取っ掛かり」を掴む方法
メロディーの作り方には色々な方法が有るかと思います。頭の中のイメージを鼻歌で歌って採譜する、というのも有るでしょうし、フレームを作り、組み立て・落とし込んでいくやり方もあるでしょう。慣れた方ならそれぞれスタイルがあると思います。でも初心者の方、特に初めて曲を作るときには「どうやってメロディーを作れば良いのか」は悩むのではないでしょうか。「やり方が分からない」「思いつかない」そんな時の為にメロディー作成の糸口となる、色々な方法をご紹介します。
メロディーの発想‐思い浮かぶ?浮かばない?
頭に浮かんだメロディーを鼻歌で口ずさんでみてそれを採譜する。という作り方なら、当然頭の中である程度メロディーが出来ている、という事になります。
でも、普通そういうやり方をしている方でも思う様にメロディーが思いつかない時も有るでしょうし、初心者の方が良いメロディーが思い浮かばないからといって「自分には才能が無い」等と考える必要は全く有りません。
ほぼ出来上がったメロディーが一気に思いつかないなら、焦点を絞って様々な糸口から手繰り寄せ、少しづつ全体を構成していくやり方も有ります。
旋律(メロディー)・リズム・ハーモニー(コード)
旋律・リズム・ハーモニー、が音楽の三要素とよく言われます。
そしてその要素は密接に関係し合っています。
という事は、どれかある一つの要素を作って、それに合わせて関係した他の要素を作る、というやり方も出来る筈です。
その方がある程度限定される、というか方向性が見えている分、作りやすいのではないでしょうか。
つまり、要素に分解し、手をつけやすい所から作れば良い訳です。
先程の音楽の三要素とい言いましたが、メロディーを作る時に関係するの要素をもう少し具体的に細かくいうと以下の様になるかと思います。
- フレーズの構成
- 音程の動き(大きな流れと小さなパターン)
- リズム形(基本リズム形とメロディーの音符長の並びパターン)
- コード(アベイラブルノートスケール)
これらの要素の中からどれか一つ、または組み合わせた方法を起点に作っていく訳です。それぞれ順に解説していきます。
・フレーズの構成
まずお断りしておきますが、ここで出てくる用語の「フレーズ」「ピリオド」「モチーフ」「小モチーフ」は一般的な用法や意味と異なっている可能性もあります。特にモチーフ、小モチーフは多分一般的な意味とは違うかも知れません。一応、こういう用語の使い方はここでの説明の為だけのものと思ってください。
長さや個数が完全に決まっている訳ではありませんが、基本的には上の図の様に、4小節程度の長さの一纏まりがフレーズで、フレーズ2個(2個以上の場合もあります)で一区切りになり、これをピリオドと呼びます。
通常は、ピリオド内の前のフレーズは弱めの終止感で、後ろのフレーズは前よりも強めの終止感で締める、という形式になります。
一塊のメロディーといえる最小単位がモティーフで長さは2小節位、モティーフを長さ半小節くらいの小さな単位に分解したいわば「メロディーの部品」のが小モチーフになります。
同じモチーフまたは、モチーフ内の小モチーフを少しだけ変えたヴァリエーションの繰り返し等を使って前後のフレーズの関連と対比を考えて構成を作ります。
例えば2モチーフで1フレーズ、2フレーズで1ピリオドの場合、
フレーズ1=モチーフA+モチーフB
フレーズ2=モチーフA+モチーフC
みたいな感じで考え、更にモチーフBとモチーフCの後ろから2番めの小モチーフが同じ、とか後ろのモチーフAの小モチーフを一つだけ変えてモチーフA’にする、等の様に構成を練っていく事で各フレーズとモチーフのイメージを固める訳です。
・音程の動き-大トレンド・小トレンド
これは要素として単独で作るというよりも、ある程度でも考え、意識しておけば作りやすくなるという感じかも知れません。
全体に上がる・全体に下る・何処に山あるいは谷、の様に大掴みに方向性を定めたのが大トレンド、それを分割した部分的な方向性を小トレンドとします。
きちんと決めてしまうのでなくても、そうやってフレーズの音程の流れをイメージする事で作りやすくなる、全体の構想で意図した通りに作る、というのが目的です。
・モチーフの音程パターン
上でも書いた様にここでは、小モチーフを長さ半小節位に分解したメロディー最小単位、の意味で使います。
音程の動きは、極短い長さであればパターンとして列挙する事もできます。
2音の音程の動きは「上がる」「下がる」「維持」の3種類しか有りません。
3音の場合は最初の2音が「上がる」「下がる」の各々に対して各5パターン、維持に対して3パターン。
4音の場合は前拍2音と後拍2音として捉え、前後拍内のそれぞれの動きと拍間の動きとして考えると良いかと思います。
つまり、一つの小モチーフに注目すれば音程変化のパターンは数が限られていますので、最初の2音なり、上に書いた小トレンドなりを決めて、ある程度限定すればパターンの数は意外と少ないものです。ですからパターンを考えられるだけ挙げて、その中から選択する事も出来ます。そうやって小モチーフを決め、それを繋いでモチーフやフレーズを作る訳です。多少手間は掛かりますし、作業っぽくなってしまいますが「創造する」よりも「選択する」ほうが簡単ではないでしょうか。
また、少し慣れて、こうした2音や3音の音程変化パターンのそれぞれを感覚的に掴んでいれば普通に頭の中でメロディーを作るのも多少楽にスムーズに出来ると思います。
音程の動きだけでなくリズム形も同じ考え方で作ることも出来ます。というか、リズム形の方が繰り返しが多くパターンが少ない分この考え方が有効だと思います。
・リズム形
ドラム等で基本リズム形を作るだけでも曲の雰囲気が少し具体的になってイメージをふくらませ易いので、メロディーを作るのも少し簡単になるかと思います。
もう一つの「音符長の並びパターン」というのは要するにメロディーの音符の長さの並び順とその中に現れる繰り返し等のパターンの事です。
取り敢えず、音程を気にせず音符長だけを考えて、後からそれに音程をつけていくやり方になります。
最初は「短い」「長い」の2種類と休符だけで考えて、「タタター タタタタ タタタタターター 」みたいな感じで色々と口ずさんでみて、パターンをざっくり決めてしまいます。
この時に音程は気にせず、と言うのは口ずさむのに一定の音程でも良いし、自然と音程が変化しても構いません。いずれにしてもリズムだけに注目して、自然とついていた音程の変化は後で音程を動かす時の参考に覚えていればそれで良いし、その時までに忘れそうでもそれはそれで構いません。この説明を見ると最初バカっぽく思う方も居られるかもしれませんが、実際にやってみると結構楽しく、意外とイメージも湧きやすいと思います。
口ずさんでみてある程度イメージが固まったら、それを音符としてDAWの画面に配置していきます。取り敢えず短いのを8分音符、長いのを4分音符で置いてみてから、全体のバランスや小節の区切り、決まっているなら基本リズム形との兼ね合いを考えて長さを編集します。
この時、音程をまだ考えてないので一定の音程で置いていく訳ですが、もしコードを先に決めているならコードのルート音か5thに置くと良いかと思います。
音符長のパターンが同じで音程のパターンが違うというのも考えられますので、決めたモチーフのどれかを意識してちょっとクドいくらい繰り返し、シンプルにしておくのがこの方法のコツと言えると思います。
ですから上記の「フレーズの構成」を先に考えておくと作り易いかも知れません
・コード
コード進行を決めてそれにメロディーをつけていく方法は割と一般的で初心者の方にもやり易いかと思います。
コードネームまでしっかり決めなくても、ルート音さえ決まっていればアベイラブルノートスケールが決まりますので、それをマップにしてメロディーを作ります。
コードトーンを基本にして、適度にテンションを挿むといった感じで作ります。アボイドノートも、あまり長く伸ばさず、すぐに隣の音に移るようにすれば使えます。
メロディー作りに意識すべきポイントとコツ
メロディーを作る時に留意すべき点やこういう点に気を配っておけば良いメロディーが作りやすいかな、と思う事を書いておきます。
・レンジ
レンジというのは、音域の事で最低音から最高音までの幅ですね。
ボーカルのメロディーなら、歌うのが人間であっても、UTAUであっても、出せる声域は限度がありますので、それが曲全体での最大限のレンジになります。
普通はサビの部分で最高音が出て、それ以外の部分はそれよりも低くなりますから、フレーズのレンジは、それが曲のどの部分かによって変わってきます。
上記の「音程の動き」の大トレンドとも関係しますがフレーズのレンジと最高音に達するタイミングがそのフレーズのメロディーの大枠になります。
・弱起と強起
強起とは小節の頭(一拍目)からメロディーが始まる事で、それ以外のタイミングで始まるのが弱起です。
特にそうでないといけないという決まりがある訳ではありませんが、メロディーの最初の一拍目の音はルート音、もしくはコードトーンで始まるのが普通で、その方が安定感があります。
しかし、弱起の場合はその全体構造を変えずに、違う音から入る事も出来ますので違和感なく変化をつけられます。
・ステップとリープ
メロディーの音程の動きで音程差二度、つまり隣の音に行くのがステップで、三度以上、つまり音程が飛ぶのがリープです。
ステップばかりだと滑らかだけどメリハリのないメロディーになり、リープが多すぎるとガチャガチャしたまとまりのないメロディーになります。ですからステップとリープが適度なバランスである事が良いメロディーの条件です。
ステップが幾つか続いたらリープが出てくるといった感じで作る時に意識するだけでもまとまりは良くなると思います。
あまり頻繁でなければ連続リープというのもアリです。
・繰り返し
メロディーの構造を決める大きな要素は繰り返しで、繰り返し方が上手ければ印象に残る良いメロディーになりやすいと言えると思います。
繰り返しは別のフレーズの対応する部分に繰り返しを入れる、という以外にも、モチーフを連続して繰り返すという手法も有ります。
その場合よく使われるのは同じモチーフを2回繰り返して3回目で少し変化して発展する、というやり方です。
最後に
今回はメロディーを要素に分解し、各要素毎に作る方法をざっと説明しましたが、今後、今回説明した要素を方法としてまとめ、個別にもう少し詳しく具体的に書いていこうかと考えています。
取り敢えず次回にコードからメロディーを作る方法を書く予定です。