UTAU(ボーカル)に歪み系とモジュレーション系のエフェクト

UTAU(ボーカル)に歪み系とモジュレーション系のエフェクト

 歌ものの曲だと曲のアレンジによっては基本的な処理をしただけのそのままの声質では素直すぎて印象が弱かったり、ボーカルだけ浮いている様に感じる事もあると思います。今回はUTAUにも有効なモジュレーション系や歪み系のエフェクトを実例で解説します。

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UTAUにモジュレーション系エフェクト

 モジュレーション系エフェクターのパラメーターの意味等、基本的な解説はこちらの記事を参照して下さい。

コーラス・フランジャー・フェイザーの音に揺らぎを加えるモジュレーション系エフェクターについて、「その3つはどう違うの?」「パラメータの意味は?」等、モジュレーション系エフェクターの仕組みを理解して使いこなす為の基礎知識を簡単に説明します。

 また、今回の記事は一応、前回の記事の続きみたいなものです。読まなくても特に支障は有りませんが、よかったら読んでみて下さい。

 ボーカルをバックの楽器と一緒に聞いてみたら、「声にもう少し厚みが欲しい」と思うかもしれません。そんな時最も簡単でクセのない対処法はおそらくショートディレイでしょう。モジュレーション系はいわばその発展形みたいなモノですから、ショートディレイよりもう少し変化が欲しいならモジュレーション系のエフェクトが候補になります。

 また使っている楽器がシンセやドラムマシーンで全体的にエレクトリックな音なら、生声っぽいボーカルは感覚的に少しちぐはぐな印象を受けるかもしれません。そんな時もモジュレーション系エフェクターで少し加工すればなじんだりします。余談ですが、これはボーカルに限らずシンセの中でアコースティックピアノの音が浮いて聞こえる時もフェイザー辺りを少し掛けるとなじんだりします。

 あまり前置きばかり長くなってもアレなので、取りあえず前回基本的なエフェクト処理をしたサンプル音声にコーラス・フェイザー・フランジャーを掛けてみたのがこちらになります。

コーラス

フェイザー

フランジャー

 単に私の感覚ですが、UTAUにモジュレーション系エフェクターは割と合うのではないかと思います。後で説明する強めに歪ませるのは曲調によって合う合わないが有るでしょうが、モジュレーション系だけなら使える範囲は広いのではないでしょうか。

ボーカルにモジュレーション系エフェクターをかける場合の調整について

 先のサンプルは効果が分かりやすい様に少し強めに掛けているので、実際に使う時はもう少し控えめの方が良いかも知れません。ただ、ボーカル単体で聞くとエフェクトが強めに感じても、他の楽器と合わせるとそうでもなかったりする時もありますが。

 冒頭のリンクのモジュレーション系の記事を読んで頂ければ分かるかと思いますが、エフェクトの強さはコーラスなら「Wet」フェイザーやフランジャーなら「Feedfwd」と「Feedback」で調整します。他の要素も書いておくと、音色の調整はコーラスやフランジャーなら「Delay(Time)」フェイザーは「Stage」です。ビブラート(モジュレーション)は「Rate」と「Depth」で調整します。大まかな調整方法としては、少し強めに掛けた状態で音色とビブラートを調整し、掛ける強さを適度に下げるといった感じでしょうか。

 ビブラートの速さを調整する「Rate」はテンポシンクが出来るプラグインも多いと思います。ビブラートに違和感があってもテンポシンクにすると大丈夫だったりします。

 テンポシンクがついていない場合は感覚で調整するか、計算して合わせるかになります。

 計算方法は単位がHz(1秒当たりの振動数)なのでBPMを60で割れば4分音符で、その半分で2分音符となります。ボーカルの場合は長めの(Rateの数値が小さい)方が自然ではあると思います。

 テンポシンクするかどうかは自由ですが、いずれにしてもそれでビブラートの感じが変わってきますので、調整順としてはRateを設定してからDepthを調整した方がやり易いと思います。

UTAUを歪ませてみる

 歪み系でもサチュレーターやテープシミュレーターを微かに掛ける感じであれば、特に気を使わずに出来ますが、ここではもっとはっきり歪ませるやり方について書きます。

 ちなみに今回後半の歪み系については上のサンプルは合わないなと思い、別のサンプルを作ってみました。前回の記事と同様の基本的な処理だけしたのがこちら

先のサンプルは波音リツEVEでしたがこちらは波音リツ・キレです。で、これにモジュレーション系エフェクターを掛けてみるとこんな感じになります。

コーラス

フェイザー

フランジャー

 で、モジュレーション系無しで歪ませたのがこちらになります。

 こんな感じで割とガッツリ歪ませると、当然穏やかでしっとりした曲には合わないかと思いますがバックの楽器の音がぶ厚かったり、歪ませたギターやリングモジュレーションの掛かったシンセ等えぐい感じ音を使ってるとかハードな曲調ならハマるのではないでしょうか。UTAUであれば音源にもよりますが、特にキレ音源等の高域で強い声の音源とは相性が良いと思います。

 ちなみにこのサンプルでは歪み系エフェクターの回にご紹介したSGA1566を使っています。プラグインによっても音が違うのでやってみる方は色々試されると良いかと思います。

歪み系+モジュレーション系

 上の歪ませただけのサンプルでも多少そんな感じはしますが、歪み系とモジュレーション系特にフェイザーやフランジャーを合わせて掛けると高音域でシャウトっぽい感じになり独特の強さのある声に聞こえます。

歪み系とコーラス

歪み系とフェイザー

歪み系とフランジャー

最後に

 歪み系やモジュレーション系をボーカルに掛ける時の相性というか、その曲に合うかどうかは曲調もありますが、バックの楽器のアレンジにもよる所が大きいので、もしかしたらボーカルだけではイメージが分かりにくかったかも知れませんが、いかがだったでしょうか。

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