【DTMで作曲アレンジ】パッド・ストリングス
今回はパッドやストリングス等、長い音符で使う楽器パートの使用例や使う為の基本な事柄についてお話します。パッドやストリングスをアレンジに加える事で比較的容易に音の厚みを出したり、雰囲気を演出でき、上手く使えると作曲で表現の幅が大きく広がります。
パッド・ストリングスについて
パッド・ストリングスと一括りにしていますが、オーケストラっぽいストリングスから、シンセでの凝った音作りのパッドまで様々です。
ここではまとめて長く伸ばした音で使う楽器パートについて、まずはそれを使う時の基本的な考え方からお話します。
使い方に応じた音色
他の楽器パートでもそうですが、当然ながら楽器の音色はそのシーケンス(楽譜)に適したものである必要が有ります。
例えば細かくリズムを細かく刻むスタックコードにアタックの遅いゆっくり立ち上がってくる音を使えば実際にはほとんど音がで出ないという結果にもなります。
拍以上の長めスパンのリズムなら、ゆっくりした立ち上がりの音でも取る事は出来ます。音符の長さの範囲内であれば、アタックが早くても遅くても機能はする訳ですが、当然性格は違ってきます。アタックの早い、立ち上がりのはっきりした音なら、音の出だしのタイミングでフレーズを区切っていくリズム感が意識されますし、アタックの遅い、ゆっくり立ち上がる音なら、どちらかというと音の長さでの「ゆらぎ」というか「うねり」というか、そう言ったものとして感じられます。
後者のゆっくり立ち上がる音の場合、リリース、つまり音符の終わりの後に残る余韻の長さと音符の終端の位置を調整して、前の音符の余韻と次の音符の出だしが上手く微妙に重なる様にすると効果的かもしれません。
シンセの場合ですが、アタックとリリース以外で音符の長さに関係する要素としてはLFO等による音色の時間的な変化があります。これも短い周期の変化なら大丈夫でしょうが、長めのLFOやフィルターエンベロープによる変化は音符の長さに応じたものである必要がある訳です。
つまり、パッドやストリングスのパートを作る時には、作りたいフレーズに合わせて、音色も上記の様な点を調整するか、合っている音色を見つけておく必要がある訳です。
音色のアタック・リリースやLFOについて詳しくはこちらの「エンベロープ」と「モジュレーション」の項を参照してください。
ヴォイシング
コードヴォイシング一般についてはこちらを参照してください。
パッドやストリングスでは必ずしも全てのコードの音を鳴らすとは限りません。
ルート音だけを鳴らす場合もあるでしょうし、ベースでルート音をとって、パッドやストリングスでルート以外の音を鳴らす事もも有ります。
また、コードの音を鳴らすにしても1つの音色で全てを鳴らしても良いですし、複数の音色を組み合わせるという方法も有ります。
コードのヴォイシングは上のリンクにもある様に、クローズヴォイシングかオープンヴォイシングが有ります。もちろんどちらでも良いのですがストリングスの場合オープンヴォイシングの「柔らかく、広がりのある感じ」を活かし易すくはあります。
音の配置で言うと低音部に置く音は、ベースの回でも書きましたが、第一展開型、つまり3rdを低音部で鳴らすと響きがテンションぽくなりますので、それを狙うのでなければ低音部にはルート音か5thを持ってくるのが無難です。
中高域では自由に配置できます。上にも書いたようにベースでルート音をしっかり鳴らしていればストリングスではルートを省いても構いません。
長く伸ばすのでアボイドノートは避けたほうが無難ですがテンションは好きな様に使えます。
使い方の例
パッドやストリングスの最も簡単な使い方はコード進行に合わせて、1つのコードの間はずっと伸ばすというものです。シンプルですがこれはこれで良いと思います。
リズムに合わせて切る場合、テンポにもよりますが、拍以上の4分音符・2分音符・全音符等で有れば切る事も出来ます。
図の様に全ての音で切っても良いですし一部の音で切っても良いです。
いずれにしてもこの場合上の「使い方に応じた音色」で書いた様にアタックとリリースを程よく調整する必要があります。
別のパターンとしては、上の図のようにタイミングずらして重ねていくという方法もあります。
あるいは重ねていくのでは無く、トップノート等の何れかの音をアルペジオ等の様に動かしても良いです。その類型としてトップノートでメロディー(サブメロディー)をとる事もできます。
最後に
次回にコード外の音も鳴らす楽器パートについて書く予定なので、最後にちょろっと書いたサブメロディーについてもそこで書こうかと思っています。