【強進行・弱進行】ルート音の動きで見るコード進行

【強進行・弱進行】ルート音の動きで見るコード進行

ルート音の音程の動きで見るコード進行を根音進行と言います。根音進行は強進行、準強進行、弱進行に分類されます。強進行・準強進行は進行感が強く安定感のある進行で、弱進行は進行の指向性が弱い進行となります。根音進行とコードの機能を合わせてコード進行の基本について考えてみます。

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音程の変化

 例えば音程が「C→F」と進行する場合、図の様に上のFに行けば四度上行、下のFなら五度下行ですが、オクターブ違うだけでどちらも「C→F」なのでまとめて四度上行(五度下行)とします。すると音程の変化は以下の6通りという事になります。

 
二度上行(七度下行)、二度下行(七度上行)
三度上行(六度下行)、三度下行(六度上行)
四度上行(五度下行)、四度下行(五度上行)

強進行・弱進行

「強進行・弱進行」という言葉がいつ頃どうやって成立したのか分からず、これも確証がないのですが、17世紀頃までの古典音楽で使用されていた和声の各声部(特にバス)の進行を強進行・準強進行、それ以降になって使われるようになった進行を弱進行と呼ぶ様です。
 つまり強進行・準強進行は古典的な進行で、安定した美しさが有り、強い進行感を持つ進行で、弱進行は古典的な進行の逆向きで、指向性(そちらへ行こうとする傾向)の弱い進行です。
しかし一概に強進行・準強進行の方が優れているという訳ではなく、現代のポップスとしては、弱進行を全く使わないとあまりにも定番的すぎてつまらない曲になる可能性もあり、逆に弱進行ばかり続けて使い過ぎるともやもやが募りストレスを感じる曲になるかもしれません。
結局は両方の特質を理解して、自分の感覚で適切に組み立てていく他ないでしょうか。

 前の項目で書いた6通りの音程の変化を強進行、準強進行、弱進行に分類すると以下の様になります。

強進行…四度上行(五度下行)
準強進行…二度上行(七度下行)、三度下行(六度上行)、四度下行(五度上行)
弱進行…二度下行(七度上行)、三度上行(六度下行)、四度下行(五度上行)

 四度下行(五度上行)は基本的に弱進行ですが、Ⅰ→Ⅴ、Ⅳ→Ⅰのみ準強進行とされることも有る様です、Ⅳ→Ⅰは変終止の進行なので変進行とも言います。(変進行の言葉の使い方は確証が有りません、もしかしたら違うかも)

 主要和音間の進行を当てはめると下の図の様になります。

 では、それぞれの進行を個別にみていきます。

四度上行(五度下行)

 四度上行(五度下行)となる組み合わせを並べると下記の様になります。
括弧内はコードの機能、「’」が付いているのが代理コードです。

メジャースケール
Ⅶ(D’)→Ⅲ(T’,D’)→Ⅵ(T’)→Ⅱ(S’)→Ⅴ(D)→Ⅰ(T)→Ⅳ(S)

マイナースケール
Ⅱ(S’)→Ⅴ(D)→Ⅰ(T)→Ⅳ(S)→♭Ⅶ(D’)→♭Ⅲ(T’)→♭Ⅵ(S’,T’)

 矢印の方向に完全四度上行(完全五度下行)ですが、メジャースケールのⅣ→Ⅶとマイナースケールの♭Ⅵ→Ⅱは増四度/減五度(トライトーン)の上下になります。別にトライトーンの進行が悪い訳ではないので繋いで続けても良いのですが、ここだけ少し感じが違います。

 四度上行(五度下行)は強進行なので、クラシックの理論通りトニック→サブドミナント→ドミナント→トニックの進行になっています。ですから流れに安定感が有って最も使いやすい進行と言えると思います。

 Ⅴ→Ⅰのドミナント終止やⅠ→Ⅳのトニックからサブドミナントへの進行もそうですが、定番の進行が含まれます。
まず、Ⅱ→Ⅴ→Ⅰのドミナント終止に至る進行はスタンダードジャズの基本的なコード進行でジャズ以外にも広く使われています。Ⅵ→Ⅱ→Ⅴで半終止となる進行も定番進行です。
それ以外でも、どのコードから始めて幾つか連続しても様になる安定のコード進行です。

四度下行(五度上行)

 単に先の逆ですが一応並べて書いておきます。

メジャースケール
Ⅳ(S)→Ⅰ(T)→Ⅴ(D)→Ⅱ(S)→Ⅵ(T)→Ⅲ(T,D)→Ⅶ(D)

マイナースケール
♭Ⅵ(S’,T’)→♭Ⅲ(T’)→♭Ⅶ(D’)→Ⅳ(S)→Ⅰ(T)→Ⅴ(D)→Ⅱ(S’)

 前の方にも書いたように基本的に弱進行とされます。四度上行(五度下行)の逆なので
トニック→ドミナント→サブドミナント→トニックの進行になります。
 ドミナント→サブドミナントの進行はクラシックの理論では一応禁則だと思うのですがポップスでは割りと使われています。確かに比べると四度上行(五度下行)の方がキレイに収まった感じはします。個人的には四度下行(五度上行)はそれが逆に劇的な感じがして好きなのですが、皆さんどう感じられるでしょうか。

 この進行も、どのコードからでも特に大きな違和感は無く、連続しても使えるかと思います。
メジャースケールのⅤ→Ⅱのリーディングトーンが解決されないのが気になる場合はⅤ→Ⅱm7として主音を7thに入れてやれば緩和されるかと思います。

順次進行

 二度上行、二度下行は隣の音に移るので順次進行と言います。
順序は書くまでもない気もしますが、機能を見る意味も有るので一応これも書いておきます。

メジャースケール
Ⅰ(T)-Ⅱ(S’)-Ⅲ(T’,D’)-Ⅳ(S)-Ⅴ(D)-Ⅵ(T’)-Ⅶ(D’)-Ⅰ(T)

マイナースケール
Ⅰ(T)-Ⅱ(S’)-Ⅲ(T’)-Ⅳ(S)-Ⅴ(D)-Ⅵ(S’,T’)-Ⅶ(D’)-Ⅰ(T)

 上行が準強進行、下行が弱進行とされています。確かに聴いてみると上行の方が流れがキレイな気もしますが、いずれの方向もスケールの隣の音に移動するので動きとしてもスムーズですし、通常のトライアドや7thコードであるかぎりコードの構成音全てが変化しますので進行感も有ります。ですから流れを作りやすく、実際に使用される頻度も高いと思います。

 メジャースケール(リーディントーンのあるスケール)ではⅤ→Ⅵの偽終止やⅦ→Ⅰ(Ⅵ)のドミナント代理からトニックへの進行、それにⅢ→Ⅳ(Ⅱm7)、はリーディングトーンから主音への解決が含まれるので進行の指向性が強くなります。

三度下行(六度上行)、三度上行(六度下行)

 組み合わせの順序は以下の通り、右は行けば三度上行、左へ行けば三度下行です。

メジャースケール
Ⅰ(T))-Ⅲ(T’,D’)-Ⅴ(D)-Ⅶ(D’)-Ⅱ(S’)-Ⅳ(S)-Ⅵ(T’)-Ⅰ(T)

マイナースケール
Ⅰ(T)-Ⅲ(T’)-Ⅴ(D)-Ⅶ(D’)-Ⅱ(S’)-Ⅳ(S)-Ⅵ(S’,T’)-Ⅰ(T)

 こちらは下行が準強進行で上行は弱進行です。
見ていただいた通り、三度上下には同一機能内での移動が含まれています
気にするか、無視するかはそれぞれのご判断にお任せしますがⅡ→Ⅳの様に禁則進行とされる代理から本来のコードへの進行も含まれますので場合によっては注意が必要かも。

 三度上行・下行はコードの構成音のうち、少なくとも2音は変化しません。
図の様に上のコードをトライアドで下のコードを7thコードにすれば上の3音がそのままでベース音だけが変化します。

 これはこれで面白いと思いますが、これ以外のヴォイシングにしても三度上行・下行は順次進行よりもルート音の動きは大きくても構成音があまり変化しないので、コードの響きとしては進行感が弱く停滞した感じがします。ですからそこで流れを緩めたいというような所で使うと効果的かも知れませんが、あまり連続して使用すると変化に乏しいすっきりしない進行になりがちです。敢えてそうやってストレスをためて次の進行を際立たせるという手もあるでしょうが。

最後に

 コード進行は基本的に自由に作れば良いのだと思いますが、取り敢えず整理して考える手がかりとしてコードの機能とルート音の動きに注目してみるのは有用ではないでしょうか。
次回に「五度圏」という図を使って今回の話をもう少し整理してみたいと思います。

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